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バート・バカラック
Burt Bacharach (1928- )

アメリカ音楽界の重鎮、バート・バカラック。ピアニスト、歌手、ソングライター、作曲家、アレンジャー、そしてプロデューサーまでを優雅にこなす才人です。

アメリカのカンサスに生まれたバートは、父親が有名紙のコラムニストだった関係でニューヨークで育ちました。ピアノやチェロ、ドラムスを習得し、アメリカのマネス学院やカナダのマギル大学などでクラシックを学びました。卒業後には従軍し、駐留先のドイツで軍のジャズバンドに参加しました。

その後ニューヨークに戻って、マレーネ・ディートリッヒなどの大物アーティストの伴奏やアレンジ、バックオーケストラの指揮を手がけるようになります。また作詞家のハル・デヴィッドと組んで、ディオンヌ・ワーウィックやダスティ・スプリングフィールドなどに作品を提供、勢いよく大ヒットを連発。さらに、一連のセルフカバー盤や、映画「何かいいことないか子猫チャン」「明日に向かって撃て!」などの音楽でも、その才能が如何なく発揮されました。

1970年代後半は低迷したものの、キャロル・ベイヤー・セイガーとの結婚が新しいバカラック・サウンドを生み出し、それが「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」(1980年)のの大ヒットにつながったのです。

近年でも、エルヴィス・コステロとのコラボレーションや新作アルバムの制作、映画「オースティン・パワーズ」へのゲスト出演、さらに世界各国でのコンサートに赴くなど、その健在振りを示しています。

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ショパン三世のミニ評

明るく、さわやかさでいっぱいのバカラック・サウンド。変拍子、移調、転調といった工夫が随所にあって、聴いていて楽しくなる。

お薦めの一曲

雨にぬれても (Raindrops Keep fallin' On My Head)
アメリカン・ニューシネマの代表作と謳われた1969年の西部劇映画「明日に向かって撃て!」の主題歌で、ビリー・J・トーマスが歌って大ヒット。アカデミー主題歌賞にも輝きました。ハル・デヴィッドの爽やかな詞と、バカラック作曲のシンプルで軽やかなメロディーの光る名曲です。イージー・リスニングには、もはや、なくてはならない存在です。

ピックアップ

アット・ディス・タイム
バカラックが、なんと28年ぶりにソロ・アルバムを発表しました。80歳の年齢を感じさせない、ポップで瑞々しいサウンドの数々。 半世紀で培った余裕と落ち着きをバックボーンに、作詞やデジタル編集にもトライするなど、意欲に満ちた会心作です。

作品鑑賞