イージーリスニング・ナビ

パーシー・フェイス
Percy Faith (1908-1976)

パーシー・フェイスはカナダのトロントに生まれ、音楽の環境に恵まれて育ちました。早くも15歳でピアニスト・デビューしたのですが、両手に火傷を負ってしまうという悲劇に見舞われ、やむなくアレンジャーに転向したようです。

ホテルやラジオ局の専属楽団での仕事を経て、30年代はカナダ国営放送のショー番組の音楽監督として活躍。40年代に入るとアメリカに拠点を移し、NBCの音楽監督及び指揮者に就任。その後コロムビアと契約し、プロデューサーとしてトニー・ベネットやドリス・デイといったスターのレコードを手がけながら、パーシー・フェイス楽団を率いての活動も始めました。

「夏の日の恋」の録音は、ビルボード誌の年間ベスト・ワンを記録する大ヒットを収め、勢い良くイージー・リスニング界での名声を築き上げたのです。

流れるような華麗なストリングス、洒落たオブリガード、都会的なリズムとハーモニー…。彼の生み出した何百という名演奏は、没後40年を経てもなお輝きを失っていません。

晩年は病気を抱えながらアルバム作りに力を入れていました。1976年にはパーシー・フェイス楽団の日本公演が予定されていましたが、彼の急逝でキャンセル。かと思いきや、代わりにデイビッド・ローズが指揮をとり、日本公演は成功したのでした。

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ショパン三世のミニ評

聴く人の胸に強く、優しく、温かく響いてくる音楽。パーシー・フェイスはまぎれもなく、それを生み出したパイオニアである

ピックアップ

Chinatown / Summer Place '76
晩年の2つのアルバムをカップリング。前半は1974年の録音。「チャイナタウン」のほか、「華麗なるギヤツビー」、「スティング」など、ヒット映画のテーマを中心に聴かせてくれます。後半は75年のアルバム。これがパーシー・フェイス最後の録音となりました。まさに有終の美、最大限の輝きを誇った名盤です。ニュー・パーシー・サウンドと呼ばれたエレクトリック・サウンドを堪能できます。

作品鑑賞

夏の日の恋 (Theme From "A Summer Place")
巨匠マックス・スタイナーが映画「避暑地の出来事」のために書き下ろした主題曲を、パーシー・フェイスがポップなアレンジでヒットさせたものです。美しいメロディーのモチーフが、歯切れよいフルートのスタッカットをバックにくりかえされ、それが高揚感となって盛り上がっていきます。